Columnコラム

2026-09-23

住宅ローン金利が上がると月々いくら増える?家計を苦しくしない判断方法

借入額は「今の金利で払える額」ではなく、「1.5%上がっても払い続けられる額」から決める

「変動金利で借りて、もし上がったらどうなるんだろう」。岐阜で新築を検討する共働き世帯から、いちばん多く届く不安です。結論を先に言うと、この不安は感覚で抱えるものではなく、電卓で答えが出ます。金利が1%上がったとき月々いくら増えるかは、借入額と返済年数さえ決まれば計算できるからです。この記事は、数字にしてから安心したい人のためのものです。

【この記事のポイント】

住宅ローンの金利上昇は、避けられるものではなく、あらかじめ織り込むものです。借入3,000万円・35年・元利均等返済で試算すると、金利が0.5%から1.5%へ動いたときの月々の差は1万円台半ば、2.0%まで動けば2万円台に届きます。この差額を、教育費や車の買い替え費を削らずに払えるかどうか。そこが借入額の上限を決める線になります。この記事では、上昇後の返済額を自分で出す手順、変動金利の5年ルール・125%ルールの正しい理解、そして家計に残しておくべき支出まで、順番に整理します。

今日のおさらい:要点3つ

  • 借入3,000万円・35年・元利均等なら、金利0.5%で月およそ7万7,900円、1.5%で約9万1,900円、2.0%で約9万9,400円。差額は1万4千円〜2万1千円程度が目安(条件により変動)。
  • 変動金利の「5年ルール」「125%ルール」は返済額の急変を抑える仕組みで、利息が減る制度ではない。金融機関によって採用の有無も異なる。
  • 判断の基準は「今の返済額を払えるか」ではなく、「+1.5%後の返済額を払いながら、教育費と車の費用を残せるか」。ここから借入額を逆算する。

この記事の結論

一言でいうと、金利上昇への備えとは、上がった後の返済額を先に見て、その額で生活が回る借入額に抑えることです。最も重要なのは、上昇後の数字を一度でも自分の目で見ておくこと。見ないまま借りると、上がったときに「想定外」になりますが、見てから借りれば「想定内」に変わります。金利や返済額は借入額・年数・返済方式・金融機関の条件で変動し、制度や優遇も見直されます。実際の数字は各金融機関の窓口や公式のシミュレーションで確認してください。正直なところ、金利が上がるか下がるかを当てる必要はありません。当たらなくても困らない借り方をすればいいだけです。

「月々いくら増えるか」は、数字にすればすぐ見える

まず、不安の正体を数字に置き換えてみます。ぼんやりした心配のままだと、判断のしようがありません。

3,000万円・35年で並べてみる

借入3,000万円、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス払いなしで計算すると、月々の返済額の目安はこうなります。金利0.5%で約7万7,900円、0.7%で約8万600円、1.0%で約8万4,700円、1.5%で約9万1,900円、2.0%で約9万9,400円。つまり0.5%から1%上がると月およそ6,800円、1.5%上がると約1万4,000円、2%上がると約2万1,500円の増加です。借入2,500万円なら差はやや小さく、0.5%から1.5%への上昇で月およそ1万1,600円。これらは条件をそろえた場合の目安で、実際は借入額・年数・優遇幅・返済方式で変わります。

増えるのは月額だけではない

実は、月々の差額よりも効いてくるのが総返済額です。3,000万円・35年の場合、金利が1%違えば、支払う利息の総額は数百万円単位で動きます。月1万円台の差でも、35年分を足せば大きな金額になる。「月々なら何とかなる」と考えるとき、この積み上がりを一度は見ておいたほうがいいでしょう。

よくある失敗:上がった前提を一度も見ないまま契約する

よくあるのが、提示された今の金利での返済表だけを見て、そのまま進めてしまうケースです。書類には現在の適用金利での数字しか載っていないことも多く、上昇後の姿は自分から頼まないと出てきません。ある共働きのご夫婦は、契約直前に「1.5%上がったらの表もください」と頼んで初めて、月々2万円近い差を知りました。借入額を200万円ほど下げて調整した、というわけです。

変動金利の「5年ルール・125%ルール」を正しく理解する

金利上昇の話をすると、必ず出てくるのがこの二つの仕組みです。ただ、内容を取り違えると、かえって危ない判断につながります。

何を守ってくれる仕組みなのか

5年ルールは、金利が変わっても毎月の返済額を5年間は据え置く扱い、125%ルールは見直し時に返済額が従来の1.25倍を超えないようにする扱いです。急に返済額が跳ね上がって家計が破綻することを防ぐ、いわば緩衝材にあたります。

利息が消えるわけではない

ここが肝心です。返済額が据え置かれている間も、利息は上がった金利で計算されます。返済額のうち利息の割合が増え、元金の減り方が遅くなる。金利の上がり方によっては利息が返済額を上回り、払いきれない「未払利息」が生じることもあります。先送りされているだけで、なくなってはいません。

金融機関によって扱いが違う

なお、これらのルールはすべての商品に付いているわけではなく、採用していない金融機関や商品もあります。ネット銀行では扱いが異なる例もあります。ケースによりますが、変動を選ぶなら「このルールはありますか」と最初に確認しておくのが確実です。制度や商品の条件は改定されるため、最新の内容は各金融機関の窓口で確かめてください。

家計に残しておくべきお金から、借入額を逆算する

返済額だけを見て「払える」と判断すると、後から効いてくるのが教育費と車です。この二つは、金額も時期もある程度読めます。

教育費は、中学以降に段差がある

文部科学省の子供の学習費調査によると、学習費の総額は学校段階と公立・私立で大きく変わり、公立中学校で年間50万円台、私立中学校では年間140万円台という水準が示されています。金額は調査年度で変わりますが、「中学から段差がある」という形は共通です。さらに高校・大学と続くため、返済額を決めるときは、いちばん重い時期を頭に置いておく必要があります。

車は必ず買い替えが来る

岐阜市周辺では、共働き世帯が車2台を持つことも珍しくありません。車検・保険・税金といった維持費に加え、10年前後で買い替えの出費が来ます。ローンを組めば毎月の固定費がもう一本増える。住宅の返済額を上限まで攻めると、この一本が入る余地がなくなります。

「残せる額」から上限を決める

そこで順番を逆にします。手取りから、生活費・教育費の積立・車の準備金・修繕の積立を先に引く。残った額が、上がった後でも払える返済額の上限です。この上限から逆算した借入額が、自分たちの現実的なラインになります。

判断基準:三つの物差しで見る

判断基準1は、「+1%」と「+1.5%」の二本で試算表を出してもらうこと。片方だけだと感覚がつかめません。判断基準2は、上昇後の返済額が手取り月収に占める割合を見ること。今の金利ではなく上昇後の数字で測るのが要点です。判断基準3は、固定・変動・ミックスを「損得」ではなく「性格」で選ぶこと。数字が動くと落ち着かないタイプなら、金利が高めでも固定の安心を買う価値があります。

ケース1:借入額を下げて、教育費の枠を残した夫婦

岐阜市内の賃貸に暮らす30代のご夫婦は、当初3,200万円の借入を想定していました。ところが+1.5%の試算を見て、下のお子さんが中学に上がる時期と重なることに気づいた。「最初は半信半疑で、そんなに上がるのかと思っていた」と旦那さん。結果として借入を2,800万円まで下げ、間取りは廊下と2階の一室を見直して調整しました。窮屈になるかと心配したものの、暮らし始めてみると気にならなかったそうです。

ケース2:ミックス型で気持ちを落ち着かせた夫婦

もう一組は、共働きで収入に余裕はあるものの、奥さんが金利の変動を強く気にするタイプでした。全額固定では返済額が上がりすぎる。そこで一部を固定、残りを変動に分けるミックス型を選び、上限と下限を両方見えるようにしました。契約前に確認したのは、繰上返済の手数料と、返済額軽減型・期間短縮型のどちらを選べるか。「金利が上がったときに打てる手が残っているか」を基準にしたといいます。

例外:早く返し終える前提なら見え方が変わる

なお、退職金や親からの資金援助が確定していて、返済期間を短く見込める場合は、上昇の影響も相対的に小さくなります。ただし援助には贈与の扱いが絡み、住宅ローン控除や各種補助の要件も改正されます。最新の内容は税務署・自治体・各制度の公募要領で確認してください。

よくある質問

Q1. 金利が1%上がると、月々いくら増えますか?

A1. 借入3,000万円・35年・元利均等なら、0.5%から1.5%で月およそ1万4,000円の増加が目安です。借入額・年数・条件で変動するため試算表で確認してください。

Q2. 変動金利は選ばないほうが安全ですか?

A2. 一概には言えません。上昇後の返済額でも家計が回るなら選択肢に入ります。判断は金利の予想ではなく、耐えられる借入額かどうかで行うのが現実的です。

Q3. 125%ルールがあれば安心ではないのですか?

A3. 返済額の急変は抑えられますが、利息が減るわけではありません。元金の減りが遅くなり、未払利息が生じる場合もあります。仕組みの理解が前提です。

Q4. どのくらいの上昇幅で試算すればいいですか?

A4. +1%と+1.5%の二本を目安にすると比較しやすくなります。余裕を見たい場合は+2%も出してもらい、いちばん重い姿を確認しておくと安心です。

Q5. 返済負担率はどのくらいに抑えるべきですか?

A5. 上昇後の返済額で測るのが要点です。手取り月収に対して2割台に収まるかを一つの目安にし、教育費と車の積立が残るかもあわせて確認してください。

Q6. 固定金利にすれば悩まなくて済みますか?

A6. 返済額は動かなくなりますが、当初の金利は高めです。安心を優先するか、当初の負担を抑えるか。性格と家計の余裕で選ぶ問題だと考えてください。

Q7. 金利が上がったら、途中で借り換えられますか?

A7. 借り換え自体は可能ですが、諸費用がかかり審査もあります。上がってから動く前提にせず、繰上返済や返済方式の変更など手札を確認しておきましょう。

Q8. 自分たちの条件で無理がないか、どう確かめますか?

A8. 手取り・教育費の予定・車の買い替え時期をメモにして、上昇後の試算表と並べるのが早道です。数字がそろうと相談の精度が一気に上がります。

まとめ

住宅ローンの金利上昇は、当てにいく話ではありません。上がった場合の返済額を先に出し、その額で暮らしが回る借入額に抑える——やることはこれだけです。借入3,000万円・35年なら、金利が1%上がって月およそ6,800円、1.5%で約1万4,000円、2%で約2万1,500円が増加の目安。変動を選ぶなら5年ルール・125%ルールの有無と中身を確かめ、利息が消える仕組みではないことを押さえておきましょう。そのうえで、教育費の段差と車の買い替えを先に確保し、残った額から借入額を逆算する。返済額や制度の条件は借入内容や改定で変わりますから、実際の数字は金融機関の窓口や公式のシミュレーションで確認してください。まずは自分たちの手取りと支出を書き出して、予算・土地・家族構成で成立するかを相談してみてください。上がった前提を先に見ておけば、後から慌てずに済みます。

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