2026-07-10
住宅購入 連帯保証人は必要?仕組みと注意点を解説

家族を巻き込む前に理解すべき連帯保証人の現実
【この記事のポイント】
住宅ローンは現在「本人+担保不動産」を前提に審査するのが一般的で、三菱UFJ銀行など多くの銀行が「住宅ローンの利用に連帯保証人は原則不要」と明記している。
それでも連帯保証人が関わるパターンは、「配偶者や親子と収入合算・ペアローンを組む」「共有名義で買う」「申込者の年収や勤続年数が弱い」といったケースで、その場合の連帯保証人は「主債務者と同じ責任」を負うため、返済が滞るといきなり給料や自宅が差し押さえの対象になる。
「ただの保証人」と「連帯保証人」の違いをきちんと理解せずにハンコを押す人が多く、20年後に突然支払督促が来て家族全員を巻き込む事例も報告されている。「メリットはほぼゼロ・リスクは主債務者と同じ」と知ったうえで、どうしても必要なら「家族会議レベル」で慎重に決めることが大切である。
今日のおさらい:要点3つ
- 住宅ローンに連帯保証人は「原則不要」であり、必要になるのは収入合算・共有名義・属性が弱い場合など限定的である
- 連帯保証人は「主債務者と同じ責任」を負い、貸主はいきなり連帯保証人に全額請求でき、メリットはほぼゼロである
- 連帯保証債務は相続の対象となり、自分が死んだあとも家族が責任を引き継ぐため、安易に引き受けてはいけない
この記事の結論
一言で言うと、「住宅ローンに連帯保証人は『原則不要』であり、必要になるのは収入合算・共有名義・属性が弱い場合など限られたケースで、そのとき連帯保証人は主債務者と同じレベルの返済義務を一生背負うことになる」。
最も重要なのは、「①連帯保証人=主債務者と同じ責任(貸主はいきなり連帯保証人に請求できる)」「②自己破産などで債務整理するまで、保証債務は免れない」「③連帯保証人の立場は相続される」という3つの事実を理解し、安易に家族やきょうだい、友人に頼まない・自分も簡単に引き受けないことである。
失敗しないためには、「銀行に『連帯保証人がいないと借りられない』と言われたら、その理由と代替案(保証会社利用・借入額の見直し・頭金を増やすなど)を必ず確認し、それでも必要な場合は『全員がリスクを理解したうえでの覚悟ある選択』にする」ことが大切である。
「保証人が必要です」と言われた瞬間に、不安が押し寄せる
仮審査の結果、連帯保証人欄に目が止まる
正直なところ、初めて住宅ローンの仮審査結果を見たとき、一番ドキッとしたのは「連帯保証人の有無」という欄だった。担当者から「ご夫婦で収入合算をするなら、奥さまに連帯保証人になっていただく必要があります」と説明され、その場では「そういうものか」と頷いてしまった。しかし帰り道、スマホで「住宅ローン 連帯保証人 こわい」「連帯保証人 破産 家族」と何度も検索していた。
画面には「他人の保証人になるメリットはない」「実のきょうだいの連帯保証人になり、20年後に差し押さえ通知が来た」といった記事が並び、さっきの軽い頷きが急に怖くなってくる。リビングのテーブルに仮審査の紙を広げて、「これ、本当にお願いしていいことなんだろうか」と、しばらく息を飲んで見つめていた。
「住宅ローン=必ず連帯保証人が必要」ではない実態
三菱UFJ銀行の公式コラムは、「家を購入する際に借り入れする住宅ローンの連帯保証人は原則必要ありません」と明言している。リクルートの解説でも、「住宅ローンを借りるとき、連帯保証人が必ず必要なわけではなく、現在は保証会社を利用するケースが主流だ」と説明されている。
つまり、昔のように「親に保証人を頼む」のが当たり前という時代ではなく、ほとんどの住宅ローンは「保証会社」や「機構(フラット35など)」が保証人の役割を担っているのが、今のスタンダードなのである。
連帯保証人とは何か ― 「普通の保証人」との違い
連帯保証人は「主債務者と同じ責任」を負う人
弁護士や金融機関の解説では、「保証人」と「連帯保証人」の違いが以下のように説明されている:
保証人:原則として「主債務者に先に請求してから」保証人に請求される(催告の抗弁権・検索の抗弁権がある)
連帯保証人:主債務者と同じ立場の債務者とみなされ、貸主はいきなり連帯保証人に全額請求できる。上記の抗弁権はない
具体的には、主債務者が1円も払っていなくても、いきなり連帯保証人の給料や預金・財産が差し押さえ対象になるということだ。
そして連帯保証人は、主債務者が返済を続けている限り表に出てこない。しかし滞納が続いた瞬間に「影武者から本当にプレイヤーにさせられる」という、心理的にも負担の大きい立場である。
連帯保証人にはメリットはない、リスクだけがある
債務整理を扱う弁護士法人のコラムは、「連帯保証人になることにメリットはありません。連帯保証人になるということは主債務者と同じ責任を負うということであり、自分の利益は何もありません」と、かなりストレートに書いている。
楽天カードのマネー解説でも、「連帯保証債務は相続される(自分の死後、家族が思わぬ借金を背負う可能性がある)」「『親しい人のため』という善意が、本人と家族を長期的なリスクにさらす」と警告している。
つまり、「連帯保証人になる=実質的には自分が借りるのと近い責任」を負うという認識が必要なのである。
住宅ローンで連帯保証人が必要になるケース
ケース① 夫婦や親子で収入合算・ペアローンを組むとき
住宅ローンと連帯保証人の関係を整理した記事では、「収入合算(夫婦・親子で収入を合算して借入額を増やす)」「ペアローン(夫婦などがそれぞれローンを組む)」の場合、互いが互いの連帯保証人になることが一般的とされている。
具体例としては以下のようになる:
- 夫が主債務者、妻の収入を合算 → 妻が連帯保証人
- 夫婦で共有名義+ペアローン → 夫と妻が互いに連帯保証人
この場合、どちらか一方の収入が途絶えたとき、離婚などで一方が返済できなくなったとき、残った側が「自分のローン+相手の分まで」負担せざるを得ない状況になり得る。
ケース② 持分を共有にする(親子・夫婦の共有名義)
親子や夫婦で共有名義にする場合、各自が連帯債務者・連帯保証人になるパターンが多く、金融機関や商品によって具体的な形が異なる。
センチュリー21の任意売却コラムでは、「共有名義+連帯保証人の場合、どちらか一方が自己破産しても、もう一方に請求が集中する」「住宅ローン滞納が連帯保証人にまで波及し、最終的に自宅売却や任意売却になるケース」が紹介されている。
ケース③ 本人の属性が弱く、保証会社が要求する場合
三井住友銀行やローン解説サイトは、以下のようなケースで連帯保証人を求められることがあるとしている:
- 本人の年収や勤続年数が基準ギリギリ
- 自営業・フリーランスなど、収入が安定しにくい
- 信用情報にキズがある(延滞歴・多重債務など)
この場合、親やきょうだいに連帯保証人を依頼するか、それでも難しいと判断されれば融資不可という流れになる。ここで重要なのは、「連帯保証人を立てれば何とかなる」という発想は危険であり、借入額を抑える、頭金を増やす、時期をずらして勤続年数や信用力を整えるといった、本人側の条件改善が本筋だという点である。
連帯保証人になった人が抱える現実的なリスク
事例 ― 兄の住宅ローンの連帯保証人になった弟に、20年後に届いた通知
任意売却支援協会のブログには、こんな事例が紹介されている:
若い頃、兄が自宅を購入するとき、銀行から「連帯保証人をつけてほしい」と言われ、弟(田中さん・仮名)が「まあ兄だし大丈夫だろう」と軽い気持ちでサインした。その後20年、特に何もなく過ぎ、弟は結婚しマイホームも購入した。
ある日、兄の借入先金融機関から「返済が滞っており、このままだと給与・不動産の差押え等の法的手続きに入る」という通知が弟のもとに届いた。弟には自分の住宅ローンと家族の生活費があり、とても兄のローンまで肩代わりできる状況ではなかった。最終的には、母親が実家を売却して兄の借金返済に充てることで、弟と兄を守ったが、親子関係には深い傷が残ったという。
この事例が示しているのは、連帯保証人のリスクは契約した直後ではなく「10年・20年後」に突然顕在化すること、当時独身で身軽でも将来家族や自分の家を持つかもしれないということである。
滞納が続くとどうなるか ― 差し押さえと自己破産のリスク
債務整理の解説では、連帯保証人が背負うリスクとして、以下が説明されている:
- 主債務者が一定期間滞納すると、連帯保証人の給与・預金・不動産に対して差押えが行われる可能性がある
- 連帯保証債務を支払えない場合、連帯保証人自身が任意整理や自己破産などの債務整理を検討する必要が出てくる
主債務者の滞納が保証会社による代位弁済、連帯保証人への請求、任意売却や競売というプロセスを経て、連帯保証人自身の信用情報にも深い傷を残すことになる。
相続まで影響する ― 「死んだら終わり」ではない
連帯保証債務は本人の死亡後、相続人に引き継がれる。つまり、自分が亡くなったあとに、配偶者や子どもたちが「連帯保証債務付きの相続」を知り、相続放棄か弁済かを迫られるという状況も起こり得る。
楽天カードの解説は、「他人の保証人になるということは、自分にとってのメリットは一切ありません。自分の死後は保証債務が相続されるため、家族が思いもよらない借金を背負うことになりかねません」と結んでおり、連帯保証人になるかどうかは「自分の人生」だけでなく「家族の人生」にも関わる決断だと強調している。
連帯保証人が絡む住宅ローンとどう向き合うか
「原則不要」であることを確認する
まず前提として、住宅ローンは「連帯保証人原則不要」が一般的であり、保証会社に保証料を支払う仕組みが主流という事実を押さえておく必要がある。
そのうえで、金融機関から「連帯保証人が必要です」と言われたときには、以下を必ず確認することが大切である:
- なぜ必要なのか(収入合算?属性?物件?)
- 保証会社のみのプランはないのか
- 他の銀行なら連帯保証人なしで借りられる可能性はないか
家族間の連帯保証は「家族会議」で決める
夫婦・親子・きょうだいの間で連帯保証を検討する場合、それぞれにどんなリスクがあるのか、万が一のとき誰がどこまで責任を負えるのかを、家族全員で話し合うことが欠かせない。
特に、夫婦ペアローンで互いが連帯保証人になる、親子で収入合算して親が連帯保証人になる場合は、万が一のとき残る側・年金生活の親がどうなるかまで具体的にイメージする必要がある。
「こういう人は今すぐ相談すべき」「この状態ならまだ間に合う」
こういう人は今すぐ相談すべきである:
- 金融機関から「連帯保証人をつけないと厳しい」と言われ、その場の空気で親やきょうだいに頼もうとしている
- すでに配偶者や親に連帯保証の話を持ちかけてしまい、何となく引き返しづらくなっている
この場合は、別の銀行や住宅ローン窓口に「連帯保証人なしの選択肢」や「借入額の調整案」がないかを相談し、必要であればFPや法律の専門家にも意見を聞くことをおすすめする。
この状態ならまだ間に合う:
- これから住宅ローンを検討し始めた段階で、「連帯保証人ってそもそも必要?」と情報収集中である
- 家族から「保証人にはなりたくない」と言われ、自分たちだけで組めるか不安を感じている
迷っているなら、「連帯保証人が不要なタイプの住宅ローン」「夫婦で収入合算する代わりに借入額を抑える」といった選択肢も含めて、早めに窓口で相談してみるのがおすすめである。
よくある質問
Q1. 住宅ローンには連帯保証人が必ず必要ですか?
A1. いいえ。現在は保証会社を利用するのが一般的で、多くの銀行が「住宅ローンに連帯保証人は原則不要」としている。必要になるのは収入合算・共有名義・属性が弱い場合などに限られる。
Q2. 連帯保証人と保証人の違いは?
A2. 保証人は原則「まず主債務者に請求」されるが、連帯保証人は主債務者と同じ責任を負い、貸主はいきなり連帯保証人に全額請求できる。連帯保証人には保証人のような防御権がない。
Q3. 夫婦で住宅ローンを組むと、連帯保証人になりますか?
A3. 収入合算やペアローンの場合、一般的に夫婦がお互いの連帯保証人となる。この場合、一方が返済できなくなると、もう一方が両方のローン負担を負うリスクがある。
Q4. 友人から連帯保証人を頼まれました。引き受けても大丈夫?
A4. 連帯保証人には実質的なメリットはなく、主債務者と同じ責任を負う。弁護士なども「原則として連帯保証人は引き受けない方が良い」と助言している。
Q5. 連帯保証人になったあとに解除できますか?
A5. 原則として一方的に解除することはできない。債権者の同意や借り換え・完済などが必要で、現実には非常にハードルが高い。
Q6. 主債務者が返済できなくなったら、連帯保証人はどうなりますか?
A6. 貸主は連帯保証人に対して一括返済を求めることができ、応じられない場合は給与や財産の差押え、場合によっては連帯保証人自身が債務整理(任意整理・自己破産など)を検討する必要が出てくる。
Q7. 連帯保証人になった債務は相続されますか?
A7. はい。連帯保証債務は相続の対象となり、相続人は相続放棄をしない限り、その責任を引き継ぐ。
まとめ
住宅ローンに連帯保証人は「原則不要」であり、必要になるのは収入合算や共有名義、申込者の属性が弱いケースなどに限られる。その場合、連帯保証人は主債務者と同じ責任を負い、返済が滞ればいきなり全額請求や差押えの対象になる。
正直なところ、「保証人を頼めば何とかなる」は危険な発想である。頼む側も引き受ける側も、「メリットはほぼゼロ、リスクは人生レベルで重い」という現実を理解したうえで、本当に必要な場面かどうかを一度立ち止まって確認する。その慎重さが、将来の家族関係と自分の生活を守るいちばんの予防策になる。
住宅購入を検討する際に意外と見落とされがちなのが「連帯保証人は必要なのか」というポイントです。
一般的な住宅ローンでは原則として連帯保証人は不要とされていますが、収入合算やペアローンなどの契約形態によっては必要になるケースもあります。
また、連帯保証人には重い責任が伴うため、事前に仕組みやリスクを正しく理解しておくことが重要です。
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