Columnコラム

2026-09-26

実家の近くに家を建てると子育ては楽?総額を崩さない土地選びの方法

実家の近さは「何分か」ではなく「週に何回頼るか」で決まる

実家のそばに建てれば子育ては楽になる。半分は正しく、半分は条件つきです。結論から言うと、判断すべきは距離そのものではなく、実際に支援を受ける頻度、夫婦それぞれの通勤、その土地の価格、そして将来の介護までを並べたときのバランス。ここを整理しないまま「近いから」で土地を決めると、建物にまわせる予算が削られ、住み始めてから窮屈さが出てきます。岐阜市周辺で土地と建物を同時に考えている人に向けて、順番を整理します。

【この記事のポイント】

実家の近くに家を建てるかどうかは、子育ての楽さだけで決められる話ではありません。送り迎えや急な発熱への対応をどれくらいの頻度で頼るのか、夫婦の通勤時間はどう変わるのか、その土地は建物の予算を圧迫しないか。判断材料は複数あります。この記事では、支援の頻度を数える方法、距離と通勤の合算で見る考え方、実家の敷地に建てる場合の法的な確認事項、そして10年後・20年後に距離の意味が変わることまでを整理します。土地価格や総額は地域・広さ・条件で変動するため、示すのはあくまで考え方と目安です。

今日のおさらい:要点3つ

  • 「近い=楽」ではない。頼る回数が週1回以下なら、距離の優先順位は下げてよい場合が多い。
  • 土地と建物は同時に決める。土地に予算を寄せると建物の面積・性能・設備のどこかが必ず削られる。
  • 実家の敷地に建てる場合は、接道・分筆・名義・贈与の扱いを事前に確認する。後から出てくると計画が止まりやすい。

この記事の結論

一言でいうと、実家の近さは「保険」であって「目的」ではありません。最も重要なのは、支援を受ける頻度を具体的な回数に落とし込んでから、その回数に見合った距離を選ぶこと。毎日夕方に子どもを預けるなら徒歩圏の価値は高い。逆に月に数回なら、車で15分でも20分でも実感はほとんど変わりません。そのうえで、土地に払う金額と建物に残せる金額を同じ紙の上で見る。正直なところ、この2つを別々に検討したまま進んでしまう人が多く、後から「建物が想定より小さくなった」となりやすいのです。

「実家の近く」で、実際に楽になるのはどこか

まず不安と期待の中身を分けます。実家が近いと助かる場面は確かにあります。ただ、その効果は家族の状況によって大きく変わるため、一般論のままだと判断できません。

支援を「回数」に置き換えてみる

紙に書き出すと見え方が変わります。保育園の送りは週何回頼むのか。夕方の迎えは。子どもが熱を出したときの対応は月にどれくらいか。土日の預かりはあるのか。実は、想像していたより回数が少ないケースは珍しくありません。逆に、共働きで残業が読めない家庭は、平日夕方の支援が生活の前提になっていることもあります。この差が、距離にいくら払うかの判断材料になります。

距離より「移動時間の合計」で比べる

実家までの距離だけを見ると判断を誤ります。見るべきは、夫婦それぞれの通勤時間+保育園の送迎+実家までの移動を足した1日の合計です。実家に5分近づけた代わりに通勤が片道20分伸びたなら、家族全体の時間はむしろ減っている。岐阜市周辺は、市街地と郊外で通勤の流れが変わるため、朝の時間帯で実際に走ってみるのが確実です。地図上の距離と体感時間はしばしば一致しません。

よくある失敗:近さを優先して建物が痩せる

よくあるのが、実家から徒歩圏の土地にこだわった結果、土地価格が上がり、建物側で削らざるを得なくなるケース。岐阜市内で検討していた30代の共働き夫婦も、当初は「実家から歩ける範囲」で探していました。ところが候補地の価格が想定を超え、建物の面積か性能かを削る話になった。そこで条件を「車で10分以内」に広げてみると、同じ総額でも建物の選択肢が増えたといいます。最初は半信半疑だったそうですが、実際に何度か行き来してみると、10分の差は日常でほとんど気にならなかった、とのことでした。

総額を崩さない土地の選び方

ケースによりますが、次の順番で考えると、土地と建物のバランスが崩れにくくなります。

総額から逆算する

先に土地を決めてしまうと、残りで建てられる家が決まってしまいます。順序を逆にして、無理のない返済額から総額の上限を置き、そこから諸費用を引き、土地と建物に配分する。この配分表を持って土地を見に行くと、「いい土地だけれど、うちの配分では建物が厳しい」という判断ができるようになります。住宅金融支援機構の調査でも、土地取得費が総額に占める割合は地域によって差が大きいことが示されています。岐阜でも、市街地と郊外では前提が変わります。

土地の価格差は「毎月いくら」で見る

土地価格の差は、金額のままだと判断しにくいものです。差額をローンの返済に置き換えて「月あたりいくら増えるのか」で見ると、実感に近づきます。その増えぶんに見合う近さかどうか。ここでも、示せるのは考え方までで、実際の返済額は借入条件・金利・期間によって変動します。金利や住宅ローン控除の内容は変わるため、最新の条件は各窓口で確認してください。

土地の「見えない費用」を先に洗い出す

土地の価格表に載らない出費もあります。上下水道の引き込みが必要かどうか、古い建物が残っていれば解体費、高低差があれば造成や擁壁、地盤が弱ければ改良工事。いずれも土地の条件で発生の有無が変わり、金額も一律ではありません。実家の周辺は昔からの土地であることが多く、水道の引き込み径が古い規格のままというケースもあります。候補地が絞れた段階で、これらの費用が発生しそうかを住宅会社に確認しておくと、後から総額が動きにくくなります。

実家の敷地に建てる・分けてもらう場合の確認事項

実家の土地の一部に建てる選択肢もあります。土地の取得費が抑えられる一方で、事前確認が必要な項目が増えます。まず接道。建築基準法では、原則として幅4m以上の道路に2m以上接している必要があり、敷地を分ける場合はこの条件を満たせるかが前提になります。次に分筆や名義の扱い。親名義の土地に子が建てる場合、贈与とみなされるかどうかは条件によって変わるため、税務の窓口や専門家への確認が欠かせません。さらに、市街化調整区域では原則として新築が制限されます。実家の周辺が該当するかどうかは、事前に調べておいたほうが安全です。これらは後から発覚すると計画そのものが止まるため、土地の話が出た時点で確認するのが得策です。

10年後・20年後まで含めて判断する

子育ての支援を軸に選んだ距離は、時間が経つと意味が変わります。ここを織り込んでおくと、後悔が減ります。

支援する側と、される側が入れ替わる

子どもが小学校の高学年になれば、預かりの必要はぐっと減ります。一方でその頃には、親世帯の側に通院の付き添いや日常の手助けが必要になっていることもある。つまり「近さ」の理由が、子育てから介護へ入れ替わっていく。10年単位で見ると、近さの価値そのものは残りやすい——ただし、頼る側と頼られる側が逆になる前提で考えておくべきです。

きょうだいや相続の話も早めに

実家の敷地に建てる場合、将来の相続でその土地をどう扱うかが論点になります。きょうだいがいるなら、建てる前に一度話しておくほうが穏やかに進みます。建物が建っている土地は分けにくく、後から調整するのが難しくなるためです。

契約前に確認すべきこと

比較検討した人が実際に確認していたのは、次の点でした。ひとつ、支援を受ける頻度を数字で書き出したか。ふたつ、夫婦の通勤と送迎を含めた1日の移動時間を朝の時間帯で実測したか。みっつ、土地と建物の配分表を作り、その土地で希望の建物が成立するか確かめたか。よっつ、実家の敷地なら接道・分筆・名義・区域区分を確認したか。この4つが揃えば、感覚ではなく条件で判断できます。

よくある質問

Q1. 実家からどれくらいの距離が理想ですか?

A1. 頼る頻度で変わります。ほぼ毎日なら徒歩・自転車圏、週1回程度なら車で10〜20分でも支障は出にくい傾向です。まず回数を数えてください。

Q2. 実家が近いと関係がこじれませんか?

A2. 距離より、事前の取り決めの有無が影響します。訪問のタイミングや子育て方針をあらかじめ話しておくと、近さは負担になりにくくなります。

Q3. 実家の土地に建てれば安く済みますか?

A3. 土地取得費は抑えられますが、接道・分筆・上下水道の引き込み・贈与の扱いなど別の費用や確認が発生します。総額で比較してください。

Q4. 親名義の土地に建てても問題ありませんか?

A4. 建てること自体は可能な場合が多いものの、贈与や相続の扱い、住宅ローンの担保設定が論点になります。金融機関と税務の窓口に事前確認を。

Q5. 岐阜市の市街地と郊外、どちらが向いていますか?

A5. 通勤先と実家の位置関係次第です。郊外は土地の面積を確保しやすく、市街地は移動時間を抑えやすい。配分表を作って比べるのが確実です。

Q6. 土地を先に契約しても大丈夫ですか?

A6. 建物の見積もりが出る前の土地契約は、総額が読めないままの判断になります。土地と建物を同時に相談できる体制で進めるほうが安全です。

Q7. 市街化調整区域とは何ですか?

A7. 市街化を抑える区域で、原則として新築が制限されます。例外的に認められる場合もあるため、対象かどうかを自治体窓口で確認してください。

Q8. 実家が近いと将来の介護も楽になりますか?

A8. 通いやすさという点では有利です。ただし介護の負担は距離だけで決まりません。きょうだいとの分担も含めて早めに話し合っておくと安心です。

まとめ

実家の近くに家を建てるかどうかは、「近ければ楽」という一文では決められません。判断の軸になるのは、支援を受ける具体的な頻度、夫婦の通勤と送迎を合わせた1日の移動時間、その土地に払う金額が建物の予算をどれだけ圧迫するか、そして10年後に頼る側と頼られる側が入れ替わる可能性です。とりわけ土地と建物は同時に決めること。土地に寄せた分は、必ず面積か性能か設備のどこかから引かれます。実家の敷地を使う場合は、接道・分筆・名義・区域区分の確認を早い段階で済ませておくと、計画が止まりません。まずは頼る回数を紙に書き出し、朝の時間帯に実際の移動を試したうえで、自分たちの予算・土地・家族構成でどこまで成立するのかを相談して確かめてみてください。距離の答えは、家族ごとに違って当たり前です。

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